漠然とした不安、生きづらさをなくす方法4選 アダルトチルドレン、HSP向け
シリーズ「メンタライゼーションを治療に生かす③」
アダルトチルドレンやHSPさんの中には、漠然とした不安やつらさ、生きづらさを抱えている方が多いのではないでしょうか?
☑ 漠然としたつらさがあって、色々がんばってみたけどダメだった
☑ 昔から周りに合わせて、自分を後回しにしてきた
☑ ついがんばりすぎて、つらくなってしまう
☑ 自分が何をしたいのかわからない
今回はそのような方に向けて、生きづらさの改善に有効な、おすすめの対処法を4つご紹介したいと思います。
科学的にも効果が認められている方法ばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
生きづらさ改善のカギは、メンタライゼーション能力の向上
アダルトチルドレンやHSPさんの生きづらさが消えない主な要因として、メンタライゼーション能力の低下が考えられます。メンタライゼーション能力とは、自己や他者の言動について、その心理的背景に思いを巡らせ理解、解釈する能力のこと。このメンタライゼーション能力が幼少期にうまく育まれないと、物事を客観的に捉えることができず、生きづらさを感じやすくなってしまいます。
人は、現実をありのままに捉えているのではありません。心の中に現実をあらわした見取り図があり、それをもとに目の前の出来事を認識・解釈しています。心のフィルターを通して、現実を色づけして認識・解釈しているとも言えるでしょう。
この見取り図、心のフィルターは、両親や友達とのコミュニケーションの影響を受けて形成されます。
虐待やトラウマティックな体験、外傷体験があると、その特殊な環境から、見取り図と現実とのズレが大きくなってしまいます。
そのため自己や世界への認識がネガティブに偏り、客観的なバランスのよい見方が苦手に。
ネガティブな環境を脱して安全な環境に身を移した今でも、生きづらさが解消せず残り続けてしまうのです。
心の中にある偏った見取り図を修正して物事を客観的に捉えられるようになれば、メンタライゼーション能力も向上し、つらい症状を改善できるでしょう。
次の章からは、メンタライゼーション能力を高め、つらい症状を改善できるおすすめの方法を4つ紹介していきます。
※メンタライゼーションについては、以下のブログでも解説しています。
●アダルトチルドレン、HSP向け なぜ生きづらさが消えないのか?
対処法① つらいと思う状況を整理して、自己理解を深める
「漠然とした不安がある」
「毎日がつらいけど、具体的に何がつらいのかよくわからない」
といった方は、まず、自己理解を深めてみましょう。
・どんなとき(何に対して? 何が起きたとき?)につらく感じるのか?
・いつからそう感じるようになったのか?
・そのとき、どんな気分になるのか?
・どう思う・どう考えるのか?(「私は何もできない」「このまま生きていてもつらいだけだ」など)
・つらさを感じるのはなぜなのか?
など、つらくなる場面とその場にいるときの自分の状況について、思い浮かぶ限り様々な角度から自問自答をおこない、じっくりと考えてみてください。
また、それとは逆に、
・何に癒されるのか?
・何が心地よいのか?
・何をしているときが楽しく感じられるのか?
・何に心を動かされるのか?
・気持ちが軽くなるときはあるのか?
とポジティブな気持ちになる状況についてもじっくりと考えてみましょう。
なるべく具体的に起きた出来事を細分化して、分析、整理をしてみることがコツです。
ただ、自己理解はつらい体験に目を向けることにもなるので、苦しくて耐えられないなんてこともあるでしょう。
そのようなときは無理におこなおうとしなくても大丈夫です。ご自身のペースでゆっくりとおこなってみてください。
すぐに答えが出なくても構いません。
自己理解を深めるための分析は、問題解決、障壁を乗り越える上での基礎的な力になります。
現状が整理されると、新たな気づきが得られ、「ここが苦しさの理由なんだ。だったらこうすれば…」などと解決の筋道が見えてきます。
現状を整理し、自分の特徴に気づけるだけでも、気持ちが楽になってきますよ。
カウンセリングでも、まずは現状を把握、整理して、それから改善計画を立てます。 ちなみに、ちなみに、問題を細分化し分析するのは、私たちプロのカウンセラーでも難しいことです。カウンセリング手法も常に改良を重ねています
対処法② 認知再構成法を試してみる
認知再構成法とは、認知行動療法の技法の1つ。(認知行動療法:心理療法の一種。科学的に効果が認められている)
物事の捉え方が柔軟になり、うつ・不安の改善や、クヨクヨ悩まなくなるなどの効果や、メンタライゼーション能力の向上も期待できます。
認知再構成法でおこなうことは、特殊なものではありません。普段、友人に悩みを相談して気持ちが楽になるまでの流れを構造化したものです。
それでは、認知再構成法のやり方をご紹介します。
認知再構成法をおこなう際には、紙を用意し書き出してみると、より頭の中が整理され、スッキリとしますよ。
ステップ①
つらかった出来事を1つピックアップする。
(例:ある人から怒られた、仕事で失敗した、メールが返ってこない、などなんでもOK)
ステップ②
そのときに浮かんだ思い・考えを書き出す。
(例:「私は何もできない。いつも失敗ばかりしている」「私は変な人。だからあの人から嫌われている」「このまま生きていてもつらいだけだ」など)
ステップ③
そのときの気持ちと、その強さを書き出す。
(例:不安80%、悲しい90%、イライラ30%、みじめ60%など)
ステップ④
ステップ②で挙げた思い・考えについて、どうしてそう言えるのか、理由・根拠をいくつか書き出す。
無意識に浮かんできた考え、気持ちが客観的に見て妥当かどうか探ってみましょう。
ステップ⑤
ステップ②で挙げた思い・考えについて、そうとは言えない理由・根拠をいくつか書き出す。
アダルトチルドレンやHSPさんは、ここでつまずく方が多いのではないでしょうか?がんばっていくつか挙げてみましょう。
本当はそう言えないのでは?と考え、出来事を疑い、検証する気持ちでおこなってみるとよいです。
このステップ⑤がもっとも重要です。見落としていた客観的な事実、情報を見つけてあげると気持ちが楽になります。
ステップ⑥
ステップ④と⑤で挙げた考え、視点、事実を統合させて、実践的でバランスのよい考えをつくる。(具体例は後ほど紹介します)
ステップ⑦
最後に、ステップ③で挙げた気持ちについて、何か変化が生じたかどうか振り返る。
認知再構成法を通じてイヤな気持ちがどれくらい下がったのかを振り返ってみましょう。
認知再構成法に取り組み始めた最初のうちは、イヤな出来事が起きたときに感じたことや思いがなかなかわからなかったりします。
何度か練習を重ねると自然にできるようになり、最終的には、イヤな出来事があったときに、無意識にできるようになりますよ。
対処法③ がんばることを3つに絞る
アダルトチルドレン、HSPさんの中には、つらくなるほどがんばりすぎてしまう、周りの要求に合わせすぎてしまう方が多いのではないでしょうか?
理想としては「自分の時間をつくる」「必要に応じて断る」などができればよいのですが、現実はそう簡単にはいかないですよね。
そのような場合は、がんばることを2つ~3つに絞ることがおすすめです。
そうすれば心と時間に余裕ができ、メンタライゼーション能力も向上します。
がんばることを絞るときは、①重要度、②緊急度、③やりとげるまでに要する時間の3つを考慮し、優先順位をつけることがポイントです。
重要度とは、生活や仕事にどれくらい影響を及ぼすのか、あなたにとってどれくらい価値があるのかということ。そして緊急度は、締め切りがどれくらい迫っているのかということです。
この3つの視点から物事を検討して、がんばった方が良いと思うことだけをがんばり、他のことはできるだけ力を抜いてみてください。
加えて、がんばることを絞ったものの、その終わりが見えない場合は、時間でコントロールすることがおすすめです。
時間で区切り「この日、この時間までは精一杯がんばるけど、それ以上は諦める。しょうがない、仕方がない」と割り切るような姿勢で物事に取り組んでみるといいでしょう。
対処法④ 周りを観察して、理想の自分をイメージ、シュミレーションする
アダルトチルドレン、HSPさんの中には、昔から周りに合わせた生活を送ってきたため、自分主体で動こうとしても、どうしてよいのかわからない人もいると思います。
イヤなことばかり、楽しいことがない、周りに流されてしまって自信が持てないという人も多いのではないでしょうか。
そのような方は、身近な人、ネット上の人、有名人などを観察してみると、自分に合った生き方や問題解決のヒントが見えてきます。
「この人、対応の仕方いいなぁ~」と思える人であれば誰でもOKです。
その人の生き方、人との接し方、時間の使い方を参考にしながら、これまでとは違う自分をイメージしてみましょう。
そして、理想的な対応の仕方を心の中でシュミレーションし、できそうであれば、想像したことを実際に試してみてください。
うまくいけば、生きづらさ、つらさが緩和されていきますよ。
生き方、人との接し方に正解はありません。あなたが心からしっくりくる、これいい、と思えるような感覚に巡りあえたら、それを採用して大丈夫です。
応用編として、観察した人の心理的背景に目を向け、「この人はどのような気持ちで行動しているのだろう?」と想像してみましょう。すると心理的視野が広がり、心に余裕が生まれます。
また、観察した人だけでなく、その人と話している相手に対しても、同じく「どのような気持ちなのだろう?」などと思いを巡らせると、さらにメンタライゼーション能力が高まり、対応能力が向上します。
まとめ
今回は、アダルトチルドレン、トラウマ体験のあるHSPさん向けに、メンタライゼーション能力を向上させ、生きづらさを改善させる対処法をお話しました。
自分に合った対処法を試して、自分なりに改良を重ねていっていただけたらと思います。
当カウンセリングルームでも、アダルトチルドレン、HSPさんを対象としたオンラインカウンセリングをおこなっています。
カウンセリングで生きづらさを改善させたい、細かいことで悩まないよう心を強くしたいという方は、ぜひご相談ください。
10月先着3名様
初回カウンセリング
45分 5,000円
※はじめての方は初回カウンセリングをお申込みください。
※初回はオンラインでカウンセリングを行っています。Zoom・Skype・Line通話でのカウンセリングが可能です。
※初回カウセリングでは、現在のあなたの状態をお伺いして、今後の目標や方針を決めていきます。
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臨床心理士、公認心理師です。5年以上、都内の心療内科や脳神経内科で、うつ病、不安障害、HSP、アダルトチルドレンなど数多くのカウンセリングを経験してきました。HSPの創始者であるアーロン博士の「HSPに精通した専門家プログラム」を修了しています。