HSPと発達障害との違いは?両者が共通していること


深く考えやすい、過剰に刺激を受けやすい、共感力が高すぎる、些細な刺激を察知する…、このような方をHSPと言います。

HSPは、しばしば発達障害と同じようなものだと考えられやすいですが、実際にはHSPは発達障害との違いがあります。

そこで今回は、HSPと発達障害との違いについて解説していきます。

HSPは発達障害との違いがある

 AD/HDASDHSP
感覚過敏五感の刺激によって注意が引っ張られやすい五感の変化によって自分の世界観に影響を与えるため過敏五感が鋭く、受ける刺激が多い
こだわりなし理解できない独特なルールと規則性から、一致したもののみを選択している自分に合う方法を模索した結果、選択肢が限られるためにこだわりになりやすい
不注意好奇心や抑制がきかない自分のルールに当てはまるものに強い興味を持つ
規則性のなかに安心感を得る
他に気を取られやすく、恐怖や不安を感じやすい
多動性パニックや情緒的な混乱が、周囲から多動に見える刺激が多すぎて落ち着かなくなる
衝動性自分のルーティンを守ろうとした行動が、周囲からは突然行ったことに感じられるなし
対人関係伝えたい気持ちにブレーキがかけられない空気が読めない空気を読みすぎてしまい気疲れする

AD/HDは注意欠如・多動性障害、ASDは自閉スペクトラム症のことで、両者ともに発達障害です。

上記の表にまとめたように、HSPは発達障害との違いが明確で、発達障害は医学的に定義がありますが、HSPは心理学上の用語となっています。

では、HSPは発達障害との違いは、具体的にどのような違いなのでしょうか?

発達障害は“脳の障害”

発達障害は脳機能の障害で、医学的な定義があるため、心療内科や精神科で診断名がつきます。

脳機能の障害とはどういうことかというと、脳内の神経ネットワークが異常を起こしていることで、物事の処理に時間がかかる症状を持ちます。

特に発達障害のなかでもASDは感覚過敏の症状を持つ方が多く、この感覚過敏がHSPと混同されやすくなっています。

HSPの方は、光や音などの五感から得る刺激に過敏に反応しすぎてしまい、疲れやすいという症状がありますが、発達障害の感覚過敏は疲れやすい他に、絶えられない痛みなどの不快感を感じます。

発達障害による感覚過敏は、脳の感覚信号の調節機能になんらかの特性があるために起こると考えられており、「生まれ持った特性」ということになります。

HSPは“気質”

HSPは、心理学上の用語であるため、病気や障害ではなく、気質であると判断されます。

そのため、制度上での発達障害との違いを述べると、発達障害には障害者手帳が発行されますが、HSPの方には手帳が発行されません。

また、発達障害の方は障害者年金を受給できる場合がありますが、HSPの方は受給することができません。

しかしHSPを気質だと安易に考えるのではなく、どのようにすれば自分が快適に過ごせるのかを模索する必要があります。

HSPで感じたさまざまなストレスから、うつ病や睡眠障害、パニック障害などの精神疾患を患うリスクが否定できないからです。

発達障害とHSPに共通していること

HSPは発達障害との違いがありますが、発達障害を抱える方と、HSPの方は共通していることがあります。

それは、置かれている環境や社会的な役割によって異なりますが、みなさんが何らかの生きづらさを感じていることです。

発達障害やHSPという言葉が浸透したことで理解が深まった一方で、安易に言葉だけが使われるようになったことも否定できません。

大切なのは診断名ではなく、あなたがどうやったら生きやすくなるか。

そのためには、HSP・発達障害に詳しい専門医やカウンセラーと相談しながら、ひとつひとつ試し、失敗しては、再度違う方法を試していく他ありません。

HSPを「病気じゃないから」「障害じゃないから」と症状を我慢してしまうと、精神疾患を発症するリスクがあるので、無理をせずに専門家と相談しながら、今後の生き方を模索してみましょう。

まとめ

HSPは、発達障害と明確な違いがあります。

発達障害は医学上説明することができ、定義も定められていることから、病院で検査をして診断を受けることができます、

HSPは心理学上の用語で気質であるため、薬で治るものではなく、障害者手帳や障害者年金などの福祉制度を利用することができません。

しかし、発達障害を抱えている方とHSPの方は、共に「生きづらさ」を感じています。

大切なのは自分が発達障害なのか、HSPなのかということだけではなく、自分自信が快適に生きやすい生き方を見つけることです。

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