HSPさんはどうじて音が気になるのか? 理由と対処法を臨床心理士が解説
話し声、歩く音、ドアが閉まる音など、
様々な音が気になってつらいと思うことはとても多いのではないでしょうか。
- 仕事に集中したいのに、周りの音が気になってしまう
- 周りの音が気になって、気が休まらない
- 足音、キーボードの音などが気になって、相手の機嫌を伺ってしまう
これらはHSPさんにとってよくあることですよね。
音に関する悩みはとてもつらいですが、つらさを軽減できる有効な対処法が存在します。
今回は、HSPさんの音が気になる理由とおすすめの対処法についてお話したいと思います。
目次
なぜ、音が気になるのか?
HSPさんは、音、表情、気持ちの変化など小さな刺激にも反応し、深く処理する特徴から、他の人が気にしないような音に悩まされることがあります。
ですが、音が気になる原因はそれだけではありません。
実際は、心身の疲れ、うつ、不安が強い、物事の捉え方なども大きく影響していることが多いです。
疲れてくると、思考力や判断能力が鈍り、あらゆる音が耳ざわりに聞こえてくるでしょう。
うつ、不安が強いと、脳の覚醒状態が高まり、音への敏感さが高まります。
そして、昔は気にならなかった音でも気になるようにもなります。
また、相手の機嫌が気になる、自分がどう思われているのか気になるなどの視点に注意が向きがちである場合も音への敏感さにつながります。
わずかな音情報を手掛かりに、
- 怒っていないか?
- 変に思われていないか?
- 迷惑に思っていないか?
など色々と深く考え込んでしまうでしょう。
このように音への敏感さは様々な要因が関連しているため、音の対処は、心理的な要因も対処してあげることが大切になります。
音が気になってしまう背景にある原因にあった対応が大切
様々な音が気になって大変だと思いますが、特にどのような音が気になるでしょうか?
よくある気になる音としては以下が挙げられます。
- ドアの開け閉め
- キーボードを叩く音
- 電化製品の作動音
- エアコン、空調の音
- 話し声
- アパート、マンションでの生活音
- 車の音
- パトカー、救急車のサイレン
- コップ、お皿を置く音
- 歩く音
- テレビの音
どのような音が気になるのかがつかめたら、なぜその音が気になるのかを軽く探ってみてください。
できる範囲で大丈夫です。
気になる音、原因がわかると、それに合った対処法が見えてきます。
もちろん、本当にただ単にうるさいという理由もあります。
ですが、音をきっかけに、
- 相手の顔色を伺ってしまう
- 何か悪いことをしたかな?と自分を責め気味になってしまう
- あらゆるリスクが頭に浮かんできてしまう
などの要因も隠れているかもしれません。
その他、考えられる要因としては、
- 疲れて集中力が低下し、刺激・情報の取捨選択能力が低下している
- うつ、不安が高く、常にがんばりすぎているため、必要性の低い情報も、あたかも重要であるような感覚でキャッチしてしまうため心理的負荷が大きくなっている
などの理由も考えられるでしょう。
「気になる音」への対処法
ここからは音が気になることに有効な様々なアプローチを紹介したいと思います。
耳栓、ノイズキャンセリングイヤホンを使用する
最も基本的な対処ですが、耳栓、ノイズキャンセリングイヤホンをつかって、周りの音を適度に遮断することがおすすめです。
最初は、耳に圧迫感があって受け付けないなんて人も多いですが、使っているうちに慣れてくる人も少なくありません。
使っているうちに愛着が湧いてきたなんてこともあります。
自分にも合いそうだと思ったらぜひ試してみてください。ですが、やっぱり自分には合わないというのであれば、無理に使用しなくても大丈夫です。
好きな音楽を聴く
好きな音楽を聴くことで、イヤな音が打ち消されて、徐々に気にならなくなります。
聴く音楽は、好きで気持ちが楽になる音楽、BGMであれば何でも大丈夫です。
音楽を聴くことで、リラックスができ、モチベーションの向上も期待できます。
音楽以外にも、焚火、川、雨、風の音、電車に乗っているときの音などもおすすめです。
気になる方は、YouTubeで検索して、試しに聴いてみてください。
また、仕事中で、音楽を聴けない環境にいる場合は、心の中で歌を歌う、リズムを刻むだけでもイヤな音から注意をそらすことができます。
騒がしい場所を極力避ける
HSPさんにとって騒がしい場所、うるさい、刺激・情報量の多い場所は大きなストレスに。できるだけ避けることも大切です。
具体的な対策としては、
- 出勤、外出時には、空いている時間帯を狙って時間をずらす
- 空いている道路はないか検討して、別のルートを試してみる
- 買い物の際は、ネットショッピングを活用する。
- 電車ではなく、自転車、車に乗ってみる。
- 友達、仕事仲間からの飲み会などの誘いは、3回に1回は断ってみる
- 休日は、山、お寺、湖など静かな場所に出かけてみる
などがあります。
自分にとって少しでも楽になるような最適な環境になるように色々と調整してみてください。
優先順位の低い予定を犠牲にしてまでも睡眠、休憩を増やす
音への敏感さは、精神的な疲れの影響も強く受けています。
音が気になりすぎてつらいという背景に、実はがんばりすぎて、心身ともに悲鳴をあげていた、なんてことも非常に多いです。
体調が悪い、気分が上がらない、生きる意味がわからなくなってきたなど、心身ともに悲鳴を上げていたら。
ここだけは他の予定を少し犠牲にして、無理をしてまででも、休む時間を自分に増やしてあげてください。
「そんなこと言われても無理、気が休まらない。」
という方は、この1時間、30分だけは絶対に休むと決めるだけでも気が休まります。
それでも、「忙しすぎて、休む時間を確保できないよ」という方は、良い意味で手を抜けるところがないかを探し、がんばり過ぎない練習をしてみましょう。
心身の疲れが緩和されると集中力が回復し、イヤな音が気になりづらくなります。
簡単ではないかもしれないですが、バランスよく手が抜けると、心に余裕が生まれ、総合的なパフォーマンスも向上します。
人に気を遣いすぎない練習をして、その感覚を知る
ちょっとした音が気になってしまう背景に、周りを優先し、気を遣いすぎて、神経が必要以上に過敏になっていることが関係していることも珍しくありません。
気を遣いすぎてしまう原因に、そもそもどれくらい相手に合わせ、自分を優先していいのかわからないということが関係していることもよくあります。
その場合、相手には3,4割くらいのエネルギーを割き、残りは自分を優先してみると良いでしょう。
また、繊細さを活かして、人付き合いが上手な人は、どれくらい自分を優先できているのかを観察し参考にしてみることも大切です。
どれくらい相手を優先し、気を遣うのかに正解はありませんが、感覚としては、相手に5割以上だと多い印象があります。
時間で換算すると、1日のうち、自分のことよりも、周りのことに気が向いている時間が多いのであれば、気を遣いすぎている可能性が高いです。
自分なりに試行錯誤を続けていくと、自分に合った人との付き合い方が見えてきますよ。
気になる音の重要度を検討する
気になってしまう音が、とても重要な気がするからと無意識に思ってしまっているケースもあります。
例えば、ドアを閉める音、キーボードの音、話し声などが気になるとき、
- 機嫌が悪いのかな?
- 悪いことしてないけど何かしちゃったかな?
などの考えが浮かび、どうしてもその音が気になってしまうと思います。
そういった場合は、音を立ててしまった人のストーリーを想像してみることがおすすめです。
少しでも大きな音を立てられると気になってしまうとは思います。
ですが、
- 小さなミスを連発して気持ちに余裕がなくなっている
- そもそも音に鈍感で周りが気になる音を出していることに気づいていないのではないか?
- 心に余裕がなく、周りを気にかけられる状態になく、自分の世界に入りすぎているのでは?
などの状態にあるかもしれません。
色々と考えると、心理的な距離が置けて、音が気にならなくなってきます。
まとめ
今回は、HSPさんに多い気になりやすい音、そして、気になる音への対処法についてお話しました。
少し練習が必要なアプローチも紹介しましたが、回を重ねるうちに効果を実感できるようになりますよ。
当カウンセリングルームでは、HSPや愛着障害、パーソナリティー障害、うつ、不安を対象としたカウンセリングを行っています。
興味のある方は、お気楽にご相談ください。
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臨床心理士、公認心理師です。5年以上、都内の心療内科や脳神経内科で、うつ病、不安障害、HSP、アダルトチルドレンなど数多くのカウンセリングを経験してきました。HSPの創始者であるアーロン博士の「HSPに精通した専門家プログラム」を修了しています。