HSPが自他境界線の悩みを解決するために
人間関係の悩みには、相手との距離を置くとよいと耳にしますね。
それほど相手との距離感は大切になります。
相手と距離を置くときに、急にそっけない態度をとったり、突然連絡を絶ったりしたことはないでしょうか。
根本的な問題が解決しないまま相手と離れたところで、対象人物が変わってまた似たようなトラブルが起きた経験が誰しもあるはずです。
これは相手との境界線がわかっていないため極端になり、くり返しおこす人間関係の問題です。
HSPは他人の感情を受け取りやすく、自分と他人の境界線が曖昧になる傾向があります。
ここではHSPが感じやすい自他境界線についてと、自他境界線を引くためのヒントをお伝えします。
目次
自他境界線とは
自分と他人を分ける境目を自他境界線とよびます。
自分と他人には境界線があると言われても、目に見えない分どこにどのようにあるのか実感しにくいでしょう。
境界線には次の3つの種類があります。
- 体の境界線
- 心の境界線
- 感情の境界線
境界線は人によって違います。
また一人の人の境界線が常に一定ということは少なく、その人のもつ信念、そのときどきの感情、相手、環境などさまざまな要因によってその都度変化するものです。
同時に自分で意図して境界線を上げたり下げたりして、そのときの自分の最適を探していくものでもあります。
あなたの境界線と誰かの境界線は全く同じではない、つまりそもそも自他境界線の定義自体が曖昧なものだったのです。
HSPは自他境界線の悩みが大きい
HSPは感覚が過敏なため、多くの情報をキャッチしやすい状態です。
その分他人に境界線に踏み込まれていると感じるケースが多くなります。
しかし問題は、他人に侵入されていると被害者意識で考えてしまうことです。
自他境界線について考えることは、相手の自他境界線を修正させるよう求めるのが目的ではなく、自分の自他境界線を見つめるのが目的です。
自分の自他境界線を他人に理解し尊重してもらうためには、相手の自他境界線についても理解し尊重することが必要です。
HSPは自他境界線に侵入されていると感じる
HSPが自他境界線を侵入されているとき次のような状態です。
- 他人の要求を受け入れすぎている
- 他人の責任を自分がとっている
- 他人の気持ちに振り回されている
- 自己犠牲で他人のために尽くしている
- 他人の問題を解決することに時間を費やす
このような場合、自他境界線が曖昧になって他人の課題を取り入れている状態と言えます。
HSPは自分のキャパを超えると、相手が侵入してきていると感じてしまいます。
HSPが自他境界線で気をつけること
気をつけなければならないのは、相手に問題があると捉えてしまう傾向です。
相手に問題があるとするなら、相手が変わらなければこの問題は解決しないと考えてしまいます。
もしくは問題のある相手から逃げる選択をするしかなくなります。
すると相手を変えることはできないだけでなく、相手との関係を絶っても同じようなタイプの人が現れるたびに自分が去らなければなりません。
そのように、他人に左右され自分の主体性がなくなる状態を他人軸で生きていると表現します。大切なのは境界線が曖昧になっている自分の問題を見るということです。
心の境界線
HSPは自分の繊細な感覚は普通とは違うと考える一方、多くの人と同じように相手も自分と同じ考えをするはずだと捉えます。
相手の悩みが自分の悩みになり、相手の悩みを自分が負って問題解決に没頭するでしょう。
それは他人が自分で解決しなければならない悩みを奪っている状態で決してその人のためにはならないのです。
また、相手が感謝したりアドバイスを守ってくれたりなど、自分の思うような反応をしてこないと利用されたと感じてしまいます。
たとえ断りきれずに引き受けたことだとしても、自分は断る権利を放棄しただけかもしれないと振り返ってみることが大切です。
自分のとった行動の結果の責任を人のせいにしないことも心の境界線を守るということです。
感情の境界線
元来、他人と自分は育ってきた環境も経験も違うので、全く同じ感情をもつことはそうありません。
誰かが怒られていて、頭を必死に下げて恐縮しているように見えても、その人はさほどダメージを受けていない場合があります。
しかしHSPは他人が怒られている姿を自分のことのように感じてしまい、見ている方が萎縮して心を痛めてしまうのです。
そのとき他人の感情が自分の領域に侵入してきたように感じてしまいます。
他人の感情をそのままに受け取っているのではなく、自分のフィルターを通して感じているだけだと理解しましょう。
相手の感じ方と自分の感じ方は違うと認識すれば、自他境界線を意識しやすくなるでしょう。
自分は怒られていないのに、他人が怒られていることで感じる不快な感情に漂っている時間は、自分の人生でなく他人の人生を生きているのです。
HSPが自他境界線を引くために
HSPが曖昧な自他境界線をはっきりさせ、きっぱりと線を引けるようになれば、自分の人生を生き生きと生きている実感がでてきます。
今まではどこか自分が自分でないような、そして窮屈な感覚で生きていたのだとわかるようになるでしょう。
そのために意識したい5つのことをご紹介します。
自他境界線が曖昧なことを受け入れる
HSPでなくとも、親密な関係性の相手とはどうしても距離が近づきすぎたり離れすぎたりすることがあります。
HSPはその度合が高く、極端になりやすい傾向があると覚えておくといいでしょう。
自他境界線が揺らぐ自分はダメだと否定をせず、人間として当然おこることなのだと、まずは自分を肯定します。
ダメだという考えが浮かんでも、あとに必ずそれでもいいのだと付け加えるようにします。
「また自他境界線を飛び越えてしまったこんな私はダメだ。でもそれでもいいんだ」というふうに。
自分の疲れを癒やすこと優先
HSPの自他境界線がなくなっていくと、相手に同調しすぎて自分の意見がなくなり、まるで他人と同一化したようになります。
NOといえないというより、NOという意見すらなくなるように感じるでしょう。
外界の刺激を過敏に受け取りすぎて疲れている状態です。
無理して人の中にいるよりも、勇気を持って外的刺激を遮って一人の時間に専念しましょう。
社会や他人の事情を優先するのはやめて、人に何と思われようとも自分を優先するのが最大の自分の境界線を守る術です。
他人と関係を切るのではなく一時休息
他人と距離をとるために、連絡を一切断って関係をリセットするのはよくあることかもしれません。
しかしその極端な行動が、自分の境界線の適正な距離をみつけていく練習を妨げてしまう要因です。
いいあんばいを見つける体験がないままだと、どんなに相手が変わっても同じことのくりかえしになります。
自分にとって一番居心地の良い距離感はどこなのか?と常に自分はどう感じるかに焦点を当てていきましょう。
相手が心地よいと感じる距離に合わせるのでなく、自分が心地よい距離を見つけましょう。
自分はどう感じるのか?常に自分が主語
HSPで自他境界線が曖昧だと、「誰々はこうしてほしいと思っているだろう」と相手が主語の考え方をしがちです。
相手がそうしてほしいからするのか、自分がしたいからするのかと毎回自分に問いかけてみましょう。
なにか欲しいものがあったとしても、主人がだめだと言うから諦めますなどと、誰かのせいで諦めることはありませんか?
逆に普段は着ない洋服を選ぶとき、友達が似合うよって言ったからと他人の意見で行動を決めていませんか?
自分がしたいからではなく、相手の意見で行動を選んでいることに気づくでしょう。
まずは気づいていくだけでいいのです。
勇気を出して自分の好きな方を選ぶ
HSPは自他境界線が曖昧だと自分のしたいことをするとか自分の好きな方を選ぶという経験が驚くほど少ないのです。
朝起きてすぐ、家族のためにご飯を作らなきゃと行動していたのなら次から変えてみてください。
例えば目覚めのコーヒーを飲みたいという小さな欲求に気づいてあげて、まず自分のためにコーヒーを入れるというように自分のしたいことや好きなことをひとつでも多くやってみるのです。
こうした小さな経験の積み重ねはやがて、ここぞというときにもNOと言える決断につながります。
そのとき改めて自分の境界線を守れたことに気づき、心から喜びを感じるでしょう。
まとめ
HSPの自他境界線の悩みは生活の上でも大きなウエイトをしめる問題です。
そもそも人との距離がわからないので、人間関係の距離を置くということもよくわからないためいつも極端な行動にでて、ますます孤立を深めてきました。
しかし他人は自分が思ったり感じたりすることと同じ感じ方や思いを抱かないことを、経験を通して理解していけば、他者との違いをありのまま受け入れられるようになってきます。
そうすると他人にこう思われるはずという思い込みも次第に弱まり、自分のしたいことや好きなことも明確になってくるでしょう。
そうした違いを意識し続けていくことで自他境界線も次第にできてきます。
自他境界線も人それぞれ。
違いを認め合い尊重しあえれば人間関係も楽になれるのです。
11月先着3名様
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臨床心理士、公認心理師です。5年以上、都内の心療内科や脳神経内科で、うつ病、不安障害、HSP、アダルトチルドレンなど数多くのカウンセリングを経験してきました。HSPの創始者であるアーロン博士の「HSPに精通した専門家プログラム」を修了しています。