このつらさ、病気なの? HSPが病気ではない理由、HSPと似た病気・症状まとめ
こんにちは、臨床心理士のひろせです。
HSP(Highly Sensitive Person:敏感な人)とは、音、光、相手の気持ちなどに敏感で繊細な人のこと。
最近はTVやネットなどでもHSPが話題となっています。人間関係に疲れ、仕事もうまくいかない…もしかして自分はHSPなのでは?と心配して、心療内科を受診する人やカウンセリングを受ける人を見かけるようになりました。
悩みの多さからHSPは病気なの?と疑問に思う人もいるかもしれませんが、HSPは病気ではなく、生まれ持った気質です。
しかし、HSPは病気でないとしても、
●自分はHSPなのか
●どうしてつらい思いをするのか
●何かの病気なのかな
などと気になる人は多いと思います。
今回は、「些細なことが気になって、不安でつらい思いをしており、疲れやすい。何かの病気なのかな?」と心配な人のために、HSPが病気ではない理由についてお話しします。また、HSPと間違いやすい病気・症状、HSPがかかりやすい病気・症状についても詳しくご紹介していきます。
※HSPか気になるのか簡単に確かめたい方はこちらをチェック
「HSPとは? 臨床心理士がHSPの特徴を解説」
目次
HSPは病気ではないの?
HSPの中には、人付き合いに疲れてしまう人、無理をし過ぎて心身ともに疲弊し心療内科を受診しようかと迷う人など、色々と悩みを抱えている人が多いと思います。この悩みから、HSPは病気なの?と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
しかし、HSPは病気ではなく、生まれ持った気質です。よって、精神科でHSPと診断されることはありません。
HSPとはアメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン博士が1996年に提唱した概念であり、博士もHSPは病気ではないと述べています。
HSPには、人一倍幸せになれる可能性がある
HSPは、人一倍感受性が高い分、傷つきやすく、悩みを抱えやすいというイメージがあるかもしれませんが、決して心が弱いという意味ではありません。
HSPの中には、HSPでない人よりもむしろ自分らしく、幸せで充実した生活をしている人も多いんですよ。
特に、子どものころから自分に合った環境で生活してきた人は、繊細さを味方につけて、自分らしい生活を送っています。無意識に、イヤな刺激や苦手な場所を避け、自分に最適な道を選んで充実した生活を送る人もいて、自分がHSPだと気づかない場合もあるほど。
HSPを提唱したアーロン博士は、繊細さを活かしながら生き生きと生活するHSPの人々がいることに驚き、HSPの特徴が生活を苦しくさせるわけではないと気づきました。
HSPの繊細さ・敏感さは、必ずしもつらさの原因にはなりません。繊細さと環境をうまく味方につけることができれば、HSPではない人よりも幸せと喜びを感じられます。この点で、HSPは病気ではないと言えるのです。
たとえ今HSPでつらい思いをしていたとしても、環境と心理に適切なアプローチをすれば、充実した生活に改善できるということです!
HSPと間違えやすいこころの病気・症状など
ここからは、HSPと間違いやすい病気・症状、およびHSPがなりやすい病気・症状について紹介します。
実は、こころの病気には、HSPの「敏感さ」に似た症状を特徴とするものが多いです。「あらゆる刺激に対する敏感さ」は、さまざまな状況で生じやすいため、HSPとの区別がつきにくいもの。HSPだと思っていたら、実は違う原因だったということもありえます。
また、HSPが発症しやすいこころの病気・症状もあります。繊細さが影響して、うつや不安障害になってしまうケースも珍しくありません。
上記のような場合には、うつや不安などの症状にアプローチすることで、つらさや悩みの改善が期待できます。
これらの病気や症状を知ることで、今後の治療に活かせるよう、丁寧に解説していきます。
うつ病、うつ状態
うつ病は「気分がいつまでたっても気分がすぐれず、何をやっても楽しくない」「頭が働かずボーっとする」 といった症状を特徴としますが、過敏性、神経過敏、過覚醒などの症状があらわれることはご存知でしょうか?
うつ病は過剰なストレスによって発症する場合がほとんどで、HSPのように生まれつきのものではありません。ある日、気がついたら些細なことに気づくようになり、小さな音、話し声でも気になるようになったのであれば、それは過剰なストレスによるうつ症状のひとつかもしれません。
加えて、些細なミスを繰り返すようになったのなら、それもうつ状態の重要な手掛かりになります。HSPの場合はリスクに気をつけながら慎重に行動するため、ミスは少ない傾向にあります。
また、HSPは繊細なため、小さな刺激でもストレスとなって、うつを発症することがあります。HSPでうつを発症している場合、うつの治療がつらさ軽減のカギとなります。
不安障害、不安神経症
不安障害とは、「この先仕事で稼げなくなったらどうしよう」「自分の意見を言うとみんなに批判されるに違いない」などと、生活に支障が出るほどの強い不安を感じてしまう病気です。
不安になると興奮状態となり、人の態度、気持ち、言動、将来のことなど、あらゆるものに敏感になります。
ですが、不安障害はHSPとは違い、ある特定の場面や特定の人と話すときに限って敏感さが高くなります。仲の良い友人や一対一で話すときは、体の力が抜けて敏感さがなくなる、というようなことがよくあります。HSPであれば、仲のよい友達であっても敏感さは消えず、どこかで気を遣っていることが多いです。
また、うつ病と同様に、HSPは不安障害、不安神経症になりやすいとも言えます。HSPの繊細さゆえに人間関係や将来のことが心配、不安になりやすいのです。
ちなみに私の経験上、HSPの抱える不安感も、不安障害に有効とされるカウンセリングやその他の治療で改善されることが多いです。HSPで「このままずっとつらい思いをしていくのかな?」と不安な方は安心していただけたらと思います。不安の高いHSPさんにカウンセリングをおこなうと、HSP特有の洞察力の高さから視野が広がり、不安が改善される人が多いですよ。
アスペルガー障害(アスペルガー症候群)
アスペルガー障害とは「空気を読んでコミュニケーションをとることや、気持ちを理解し共感することが苦手」また、「生活様式、仕事の手順などで強いこだわりがある」などを特徴とする発達障害の一つです。
アスペルガー障害も周りの光や音に敏感なところがあります。
しかし、HSPと異なる点は、アスペルガー障害の敏感さは、「物の位置」「キーボードの音」「蛍光灯」など、何か特定な音や光などの刺激に敏感なところ。加えて、アスペルガー障害では、特定な敏感さがある一方で鈍感さもあり、「相手の気持ちを読み取ることが苦手」「温度や服の肌触りが繊細に感じられない」などの鈍感さもあります。
HSPの敏感さは、感じ取れる刺激の範囲が非常に幅広い上に、一つ一つの情報を深く処理して、捉えた刺激をうまく取り扱おうとします。アスペルガー障害の場合、情報をたくさん捉えても、HSPのようにうまく処理をおこなうことは苦手です。
もしHSPかどうか気になる場合には、どんなことに敏感か? 鈍感なところはないか? 相手に共感し周りに溶け込めているか?などの視点を考慮するとよいでしょう。
複雑性PTSD、アダルトチルドレン
複雑性PTSDとは、虐待、DV、身近な人の事故死などの非常に強いストレスにさらされたとき、苦痛な体験のフラッシュバックや日中の過覚醒、不眠、過度な不安などの症状があらわれる病気のことです。
この複雑性PTSDも、人間関係で相手のしぐさに敏感になる、音に敏感などHSPと非常によく似た特徴が出ることがあります。
HSPとの違いは、過去にトラウマがあったかどうか。過去にトラウマ的な経験がなく、子どものころからあらゆることに敏感だったのであれば、HSPである可能性が高いでしょう。
また、複雑性PTSDによく似た概念であるアダルトチルドレンも、HSPと混同しやすい特徴を持っています。
アダルトチルドレンとは、子どものころに親の虐待や両親の不仲などで機能不全となった家庭環境で育った結果、ネガティブ思考や自信をなくし自分を見失った状態のまま大人になり、生きづらさを抱えた人のこと。
アダルトチルドレンは、「どこか落ち着かず,不安になりやすい」「体に力が入り、神経が高ぶりやすい」といった特徴から、敏感になりやすいです。
HSPが、トラウマチックな強いストレスにさらされ続け、複雑性PTSDかアダルトチルドレンになることもよくあります。
過去にトラウマを抱えている場合は、過去のトラウマ的な体験が現在の悩みに与える影響力が大きいので、一般的なHSPに適したカウンセリングをおこなってもうまくいかないケースが多いです。
もし、過去にトラウマ的な経験がある場合は、その経験とうまく折り合いをつけて生きづらさを軽減できるよう、新しい心の働きを身に着けられるような心理的アプローチをとることが有効です。
まずは、自分の状態を把握することから
もしHSPや物事への敏感さでお悩みなら、改善に向けて、まずは自分がどのような状態にあるのかを把握することが大切です。
実は、今の状態を把握することが最も難しく、最も重要なことなんですよ。カウンセリングでも、正しく情報を整理できなければ、適切な治療がおこなえず、遠回りになってしまいます。逆に、状況把握ができてしまえば、理由が分かるため、後はスムーズにいく場合が多いです。
HSPであるかどうかのポイントは、昔からHSPの特徴があったか? 人間関係のトラブルなど何かの出来事がきっかけで繊細になったのではないか? トラウマチックな思い出を抱えていないか?など。
色々な角度から簡単に検討してみてください。
まとめ
今回はHSPが病気ではない理由と、HSPと間違いやすい、またはHSPがかかりやすい病気・症状などについてお話ししました。
HSPで悩んでいたとしても、一人ひとりの状況や原因に対応した適切な治療と対処をおこなえば、改善が期待できます。カウンセリングで悩みを改善させることもおすすめです。
当カウンセリングルームでは、オンラインカウンセリングをおこなっています。まずはお気軽にご相談ください。
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※初回カウセリングでは、現在のあなたの状態をお伺いして、今後の目標や方針を決めていきます。
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臨床心理士、公認心理師です。5年以上、都内の心療内科や脳神経内科で、うつ病、不安障害、HSP、アダルトチルドレンなど数多くのカウンセリングを経験してきました。HSPの創始者であるアーロン博士の「HSPに精通した専門家プログラム」を修了しています。