【アダルトチルドレンの試し行動の原因とは】やめたいのにやめられない苦しみ
「恋人や友達などに試し行動をしていつも関係が悪くなる」
「もう試し行動などないでおこうと心に決めても、また懲りずに繰り返してしまう」
「あとでよく考えるとこれは試し行動だとわかるけれど、ついつい無意識にしてしまう」
そんな悩みで困っているアダルトチルドレンはとても多いものです。
また、機能不全家庭で育ったわけではないのに、試し行動をしてしまうという方も少なくありません。
HSPは繊細さや感受性の鋭さのため、一見他の家庭と変わらない出来事でも、大きなダメージを負う傾向があるからです。
なぜ試し行動をしてしまうのかがわからなければ、辞めたいのに辞められない苦しみはなかなか拭えないでしょう。
なぜなら、人はわからないことに強く不安を抱くからです。
ここではアダルトチルドレンがなぜ試し行動をしてしまうのかについてお話していきます。
試し行動をしてしまう理由を知ることで自分を許すことができ、心がふっと軽くなるでしょう。
目次
アダルトチルドレンの試し行動とは
アダルトチルドレンの試し行動とは、相手の関心を引くために相手にわざわざ嫌われることをする行為を指します。
また、嫌われる行動を取り人間関係を壊すことはもうやめたいと思っているのにもかかわらず、やめられなくなっている状態でもあります。
アダルトチルドレンはなぜ試し行動をするの?
アダルトチルドレンはなぜ試し行動をとるのでしょう?それは相手の反応を見て愛情の確認をしたいためです。
アダルトチルドレンは本来、嫌われることがとても怖いのですが、自分がどんなに相手から嫌われる行動をとっても、この人は自分を好きで居続けてくれると確信したいのです。
その根底には幼い頃から身につけてきた見捨てられ不安があります。
また、自分は愛される価値なんてないダメ人間だと思いこんでいるアダルトチルドレンは、試し行動の結果、相手が離れていくことで「やっぱり自分は愛される価値がない」と確認するためでもあります。
人生におこるいろいろな自分にとって不都合なできごとを、自分がダメ人間だから仕方ないと理由をつけたいのです。
幼い頃から試し行動を繰り返してそれがくせになっている場合、相手に嫌われる行動をしている自覚がなくなります。
わざと嫌われる行動をとっている気がないので、こんなに愛しているのに、いつもなぜ相手は離れていくのだろうと悩みます。
友達やカウンセラーから「試し行動をしているのだよ」と指摘されても、わざわざ嫌われることなんてしていないと否認します。
自分の行動を見直そうという考えにおよばず、常に相手に非があるのだと思い込んでいる状態です。
これはアダルトチルドレンが被害者意識を強く持つ傾向にあることからもうかがえます。
その結果、試し行動を取り続けながら自分にふさわしい相手はどこかにいないのかと愛してくれる人を求めてさまよい続けることになり恋愛依存におちいるのです。
アダルトチルドレンの試し行動ってどんなこと?
アダルトチルドレンの試し行動は多岐にわたり、アダルトチルドレンの数だけあると言っても過言ではないでしょう。
当てはまったからと言って全てが試し行動ではないし、当てはまらないからといって試し行動ではないとは言えません。
しかし以下のような行動が主な試し行動と言われています。
□相手が自分の思うようになってくれないと、別れたくないのにすぐ別れると言ってしまう
□相手の気持ちが離れていくのを感じると、振られる前に自分から振ろうと自分から別れを告げる
□相手に何度も自分のことが本当に好きかと聞いてしまう。
□ヤキモチを焼かせたくてわざと他の異性を褒めたり、浮気をほのめかしたりする
□相手が困るようなわがままや無理難題を言う
□相手を傷つけるようなことや相手を否定するようなことを言う
□相手に自分の気持ちを理解してとよく求める
□相手に自分の思いが伝わらないと感じると泣いたり声を荒らげたり感情的になる
□相手に自分の思いが伝わらないと感じると手がでてしまう
□相手が忙しいと知っていても、何度も追いLINEをしてしまう
□わざとLINEの返信を無視したり遅らせたりする
□同情をかうようにいかに自分は不幸かとネガティブな話をしてしまう
□自分ってこんなにダメな人間よねとダメさをアピールする
□自分のことそんなに好きではないよねと何度も質問する
□相手から頼まれたことを快く引き受けようとせず、嫌だと言う
□相手が嫌みととるようなことを言う
□好きなのに相手が困る、もしくは精神的な社会的にダメージになることをする
□これをしてくれなかったら縁を切る、してくれたら〇〇をしてあげるなどと取引きをする
このように相手にとって嫌なことや困る行動をとることで相手を動揺させ、相手の出方を確認するのです。
また、別の言い方をすれば相手をコントロールしているとも言えるのです。
アダルトチルドレンの試し行動の原因
アダルトチルドレンが試し行動をしてしまうのは、アダルトチルドレンが育つ過程で、親からの愛情を受けていると感じられない場面に多く遭遇してきたからです。
養育者(ここでは親)の手を借りないと生きていけない子どもたちは、親の愛情を得られないと危機を感じます。
愛されないと食べ物を与えられない、住む場所を追い出されるなどの生きていくうえでの危機を察知し愛情を獲得する必要にせまられます。
親の喜ぶことをしていても愛されないのだと知ると、今度は強く関心を向けてもらうために、困らせる行動をとってまで親の気を引きます。
そうしなければ生きてこれなかった子ども時代を過ごしてきたことが原因です。
これはアダルトチルドレンが子どもにとって過酷な環境を生き抜いてきた証でもあるのです。
アダルトチルドレンはここまでよく頑張ってきました。
見捨てられ不安
心理的孤立アダルトチルドレンは親からの愛情を感じられないときに、このままでは親から捨てられてしまうのではないかと不安を感じてきました。
虐待だけでなく、長時間の留守番や心臓が飛び出そうなほどの強い叱りもそうです。
親が他のことに夢中になっていて自分への関心を向けていないと感じることも当てはまります。
幼い子どもにとって生死を左右するほどの恐怖のストレスは相当なもの。
強い恐怖は大人になってからも心の奥深くに残り続けています。
九死に一生を得た出来事は誰でも生涯忘れることができない原理と同じです。
親密な人間関係を築く際に、こうした見捨てられ不安がよみがえり、無意識に試し行動を取らせてしまうのです。
心理的孤立
アダルトチルドレンは本来安心して暮らせる家庭という場所で、恐怖や不安におびえながら過ごしてきました。
親や家族との心理的つながりが感じられず心理的に孤立します。
たとえ常に人に囲まれていたとしても、深く根付いた寂しさは消えません。
その深い寂しさはなかなか人に理解され難く、より一層孤立していきます。
そうした寂しさや孤独感を人で埋めようとするとき、試し行動をとって何度も愛情を確認してしまうのです。
その根底にもっと自分を理解してほしいという強い思いが隠されています。
被害者意識
アダルトチルドレンは幼い頃から家庭の中では被害者でした。
親から十分な愛情を受けられなかったため親のせいでこんなに生きづらくなってしまったのだと、親に強い恨みを抱えることになります。
そのような信念が、ことあるごとに自分を被害者の目で見てしまう原因です。
試し行動で相手を傷つけたり迷惑をかけたりしても、自分は被害者なのだから仕方ないことだと考えます。
自分が加害者になっていることなど全く考えられず、試し行動は過激になっていき人間関係を壊すまで止まらなくなってしまうのです。
壊れてしまったときに「やっぱり自分は被害者だ」と相手のせいにして、自分の非をみつめることから逃れ、自分が悪いのではないと安心したいのです。
強い承認欲求
アダルトチルドレンは親から認められる機会が、極端に少なかったケースがほとんどです。
そのため人から認められたい思いが強すぎて、満たされていない承認欲求を試し行動で埋めようとします。
何があっても自分を見捨てることはない絶対的な愛情を赤の他人に求めるのです。
ゼロヒャク思考・白黒思考と言われる極端な完璧主義であるため、自分の思い通りの完璧な反応が返ってこないと強いストレスを感じます。
そしてストレスをまた相手に向けることとなるのです。
いきすぎた責任感
アダルトチルドレンは親から叱られたとき、自分が責められていると感じてきました。
あなたがきちんとしていれば怒らずにすんだのにと言われてきたため、人が不愉快になる原因は全て自分に責任があるのだと錯覚しています。
しかしその負担の重さに耐えられないため、自分の欠点や弱さを見るより、他人の欠点を見て直させようとするほうがはるかに楽なのです。
自分がこんなに不愉快になるのは自分の何が原因なのだろうと考えるより、自分の不愉快はあなたのせいだと相手を責めている方が傷つかずに済むのです。
慢性的な罪悪感
アダルトチルドレンは自分の意見を述べることが苦手です。
親に歯向かうことを許されなかったか、歯向かったとしたら責められてきたため、自分の意見を述べることに罪悪感をいだきます。
試し行動をしてスッキリしたと気持ちがリセットされるわけでなく、罪悪感が膨らむので自己嫌悪におちいったり自分が嫌いになったりします。
試し行動を我慢しても不愉快さは消えないし、試し行動をしても不愉快さは高まるばかりで堂々巡りです。
試し行動を辞めたくても止まらない状態になってしまいます。
過度な刺激がないと落ち着かない
アダルトチルドレンは幼い頃から不安定な状況にさらされてきました。
親が何らかの原因で情緒が安定せず、子どもに安定した愛情を注げなかったことも理由です。
アダルトチルドレンは家庭内で落ち着かない状態に慣れているので、大人になって波風立たない穏やかな人間関係を居心地悪く感じてしまいます。
その結果、無意識に自らトラブルを作り出して、一波乱起きる試し行動をおこすのです。
これが試し行動だとわかっていて、もうしないと心に誓っても安定した穏やかな状況が続くと、いてもたってもいられなくなり何も問題は起きていないのに、相手の欠けた部分を見つけ出しては試し行動をしてしまいます。
同情や心配を愛と取り違えている
アダルトチルドレンは親に関心を持ってもらえたときに愛されていると感じます。
子ども時代、親に心配をかけたり困らせたりして親の関心をひけたときに喜びを感じてきました。
無視されるよりは叱られてでも病気になってでも関心を持ってもらえる方がアダルトチルドレンのご褒美なのです。
幼い頃からこうした脳の報酬系の強化がされてきたため、心配されたり嫉妬されたり、あるいは怒りをぶつけられたりすることを愛されていると誤解しています。
そのため少しでも構われていないと感じると、試し行動をしてしまうのです。
素直な自分を見せられない
アダルトチルドレンは、生命の危機を感じるほど愛情を感じ取れない状況にさらされてきました。
その過程で、受け続ける心の傷から自分を守るため、感情を殺すことを自然に学習してきました。
繊細で敏感な心を自らまひさせて、心を動かさないことが得意になった人も少なくありません。
感情を素直に表現することが苦手で、どうやって表現していいかわからず極端な試し行動にでて、自分の気持ちを伝えようとしてしまいます。
親自体も落ち着いて子どもにわかるように思いを伝える技術が未熟だったため、親子関係で健全なコミュニケーションのお手本を学べず、親が自分にしてきた行為を相手にそのままぶつけてしまうのです。
まとめ
アダルトチルドレンの試し行動は、愛情確認をしたいために他人に承認を求め過ぎることが原因でおこります。
アダルトチルドレンは、機能不全家庭内で心理的に孤立してきたため、愛情を十分感じて育ったとはいえません。
そのためどんなに困らせても愛され続ける無条件の愛を他人に求めてしまうのです。
しかし、逆に相手が離れていってしまうことでやっぱり自分は愛される価値がないと、愛されない証拠を得て安心する面があります。
慣れ親しんだ状態から外れてしまうことに、心の奥で怖さを感じているからです。
幼い頃から愛情確認をし続けてきたアダルトチルドレンは、それがあまりにも日常的だったため試し行動とはわからずに繰り返してしまうこともあります。
試し行動の辞め方が気になる方はこちらの記事を参考にしてみてください。
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臨床心理士、公認心理師です。5年以上、都内の心療内科や脳神経内科で、うつ病、不安障害、HSP、アダルトチルドレンなど数多くのカウンセリングを経験してきました。HSPの創始者であるアーロン博士の「HSPに精通した専門家プログラム」を修了しています。