HSPと発達障害の違いは?それぞれの特徴と対処方をご紹介
HSPと混同されやすいものとして、発達障害が挙げられます。
人によってはHSPと発達障害の両方の特性を持ち合わせていることもあり、どう違うのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、HSPと発達障害の違いや共通点についてご紹介しています。
それぞれについて理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
HSPと発達障害は異なるもの
共通点が多く間違われることも多いですが、HSPは発達障害ではありません。
自閉症スペクトラム(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)といった発達障害は、脳機能の障害として医学的な定義が設けられています。
一方、HSPは正式な診断名ではなく、生まれ持った気質のひとつです。
診断を受けても障害者手帳の対象にはならず、HSPのための薬は存在していません。
HSPは治療するものではなく、自分の性格の一部として上手に付き合っていく方法を考えることが大切です。
HSPとは?
HSPとは「生まれつき感受性が強く、刺激に敏感な気質を持った人」のことです。
アメリカの臨床心理学者であるエレイン・アーロンによって提唱され、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の頭文字をとって「HSP」と呼ばれています。
HSPは育った環境や性格的なものではなく先天的な性質で、周りの人と比べて人一倍繊細な点が特徴です。
日本では人口の15%〜20%、5人に1人がHSPの気質を持っているといわれています。
自閉症スペクトラム(ASD)とは?
自閉スペクトラム症とは、対人関係が苦手・こだわりが強いといった特徴を持った発達障害のことです。
「Autism Spectrum Disorder」の頭文字を取って「ASD」と呼ばれています。
これまで、自閉症やアスペルガー症候群とも定義されてきました。
自閉症スペクトラム症の原因ははっきりとわかっていませんが、生まれ持った脳機能の異常によって引き起こされるものと考えられています。
親御さんの育て方やしつけなど、後天的な要素はまったく関係ありません。
日本では子どものおよそ20〜50人に1人が診断されており、性別で見ると男性の方が女性より2〜4倍多いといわれています。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)とは?
注意欠陥・多動性障害とは、不注意・多動性・衝動性などの性質を持った発達障害です。
主に「順序立てて行動するのが苦手」「じっとしていられない」「我慢ができず衝動的に行動してしまう」などの言動が多く見られますが、人によって強く現れる性質が異なります。
ほかの発達障害と同じく脳機能の異常が原因といわれており、とくに前頭葉の働きが弱い傾向にあるとされています。
日本では子どもの約5%・大人の約2.5%に注意欠陥・多動性障害の症状があるといわれており、女性は男性よりも不注意の傾向が大きい点が特徴です。
HSPと発達障害の共通点
HSPと発達障害が混同されやすい理由として、いくつかの共通点があることが挙げられます。
ここでは、よく見られる共通点を3つご紹介します。
感覚過敏がある
HSPと発達障害の代表的な共通点は、どちらも感覚過敏を持っていることです。
感覚過敏とは、音・匂い・触感といった外部からの刺激にとても敏感な状態を指します。
五感から受け取る情報量が人一倍多いため、特定の音や肌触りのものに対して苦痛を伴うほど不快に感じてしまうことも少なくありません。
また、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の場合、周囲のさまざまな刺激に気を取られやすく、目の前の作業に集中できないことがあります。
対人関係が苦手
対人関係に苦手意識を感じやすい点も、HSPと発達障害の両方に見られる特徴のひとつです。
しかし、HSPと発達障害では「なぜ対人関係が苦手なのか」という点が異なります。
HSPの方は、自分でも気づかないうちに相手の気持ちやその場の空気を読みすぎてしまう傾向にあります。
他人といると気疲れしやすいため、「一人の方が気楽」と感じてしまうことも少なくありません。
一方、自閉症スペクトラム(ASD)の方は、表情・身振りから相手の気持ちや発言意図を読み取ることが苦手です。
さらに自分の考えていることをうまく表現できない場合も多く、他人とスムーズな意思疎通が取れないことがあります。
環境の変化が苦手
HSPの方も発達障害の方も、環境の変化に弱いケースが多いです。
ただし、それぞれ「環境の変化に上手く対応できない理由」に違いがあります。
HSPの場合、他の人よりも環境の変化による刺激を受けやすく、ストレスを感じやすいことが原因です。
自分でも気づかないうちに動揺したり必要以上に疲れてしまったりするため、できるだけ安定を好む傾向にあります。
一方、自閉症スペクトラム(ASD)の方は自分のルールやこだわりを持っていることが多く、環境の変化への臨機応変な対応が苦手です。
HSPと発達障害の違い
HSPと発達障害は一見似ているように見えますが、実はそれぞれが持つ特性には異なる点も存在しています。
ここでは、代表的な違いを2つご紹介します。
多動性
多動性は、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の方に当てはまりやすい特性です。
じっとしていることが苦手で、「授業中に教室内を勝手に動き回る」「貧乏ゆすりを止められない」などの行動が見られます。
そのため、周りに対して「常にそわそわして落ち着きがない」といった印象を与えてしまうことも少なくありません。
一方、HSPの方は多動性には問題がないケースがほとんどです。
他人との関わり方
HSPの方も発達障害の方も対人関係を苦手としている場合が多いですが、他人との関わり方はそれぞれ異なる部分があります。
自閉症スペクトラム(ASD)の場合、他人に興味関心が持てず、積極的なコミュニケーションを取ろうとしないケースも少なくありません。
一方HSPの場合、相手の気持ちに非常に敏感で、ちょっとした変化にも気づきやすい点が特徴です。
共感力が人一番強く、相手の感情を自分のことのように感じて辛くなってしまうことも。
そのため、「つい相手の顔色をうかがってしまう」「必要以上に気を遣ってしまう」「自分よりも相手の気持ちを優先してしまう」といった言動が多く見られます。
HSPや発達障害とどう向き合っていけばいい?
この記事を読んでいる方の中には、「自分がHSPなのか発達障害なのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
実際に、発達障害でありながらHSPの気質を兼ね備えている方も存在しています。
どちらも共通しているのは、「生まれ持った特性によって生きづらさを抱えている人が多い」という点です。
そのため、周りとうまくなじめず学校や仕事が長続きしない・対人関係のトラブルをたびたび起こしてしまうなどの問題を抱えているケースも少なくありません。
HSPや発達障害と向き合っていくためには、まずは自分の特性を知ることが必要不可欠です。
自分が持つ気質や特性に気づき、得意なことや苦手なことを理解することで、日常生活を落ち着いて送りやすくなるでしょう。
まとめ
HSPと発達障害は同じものではありませんが、どちらも特性による生きづらさを抱えやすい点は共通しています。
うまく付き合っていくためには、自分の特性や行動のクセをよく知ったうえで、自分が過ごしやすい環境を見つめ直すことが大切です。
1人で考えるのが難しい場合は、病院やカウンセリングなど信頼できる第三者から客観的な意見をもらうのもよいでしょう。
当カウンセリングルームでも、HSPの方を対象としたオンラインカウンセリングを実施しています。
日常生活で困りごとや不安がある方は、ぜひお気軽にカウンセリングをご利用ください。
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臨床心理士、公認心理師です。5年以上、都内の心療内科や脳神経内科で、うつ病、不安障害、HSP、アダルトチルドレンなど数多くのカウンセリングを経験してきました。HSPの創始者であるアーロン博士の「HSPに精通した専門家プログラム」を修了しています。